ここまで、お子様が絶対音感を持つメリット面ばかりを強調してきましたが、デメリットも当然あることをご承知おき下さい。
想定される一番のデメリットとしては、「絶対音感を誇示すると変人扱いされる」ということがあります。
グラスに水を入れて「今、叩いたのは何の音でしょう?」という話をしましたが、正直、そのようなことを興味の薄い方々の前でやっても大体ドン引きされます。
むしろ、気味が悪いだとか、意味が分からない、と言われるでしょう。
先ほど申し上げた通り、お子さん自身に「絶対音感がある」という自覚は希薄なものです。
ですから、自身が他人に自慢することはあまりないと思います。
なのに、それを親御さんが取り立てて、
「うちの息子は、うちの娘は絶対音感がある~」
などと、外部に向けてことさらに誇示したり、アナウンスするのは、NG中のNGと言えましょう。
あくまでも、子供の情操教育の一環、将来へ繋がることが目的ですので、うちの子供に、いつの間にかそういう能力がついていた、というナチュラルなテイストで接するのがベストではないでしょうか。
お友達に「お前、コップの水の音がわかるんだろう~早く言ってみろよ!」などとイジメに遭ってもかわいそうですものね。
よく聞くデメリットとしてもう一つ、これは、特にお子さんが成長されてからのお話ですが、「カラオケに行くとわけがわからなくなる」というのがあります。
どういうことかと言いますと、友人とカラオケボックスなどに行ったときに、友人が歌う曲が気持ち悪くてしょうがない、という事態に陥るのです。
カラオケ機械は、トランスポーズ機能、すなわち、自分の音域に合わせてキーを下げたり上げたりする機能があります。
このおかげで、たとえ自分の知っている曲でもキーをむやみに上下することで、気持ち悪く微妙な曲に聴こえるわけです。
絶対音感の持ち主ならではの悩みといえましょう。
ちなみに、これは相対音感の持ち主ではなりません。
キーが変わることで基準となる音が変化するからです。
相対音感に長けた人は、逆にカラオケは得意分野なのでは、と推察できます。興味深い現象ですね。
もちろん、譜面があって、もしくは原曲通り、というのであれば、絶対音感の持ち主は曲への理解が早まりますので、他の人より早く覚えることができて、より上手く歌えたり、演奏したりできるということは言うまでもないことです。
また、「なるべく細かいことは気にしない」ことで曲のキーを可変できる、絶対音感の持ち主もいらっしゃいます。
とはいえ、曲に関して融通が効きづらい、というのが絶対音感の持ち主の弱点とはいえましょう。