リトミック的なアプローチで、このようなエピソードがあります。
20世紀のアメリカの音楽家、フランク・ザッパはライヴをするにあたり、綿密なリハーサルをし、一曲につき自分のバンドに複数のパターンの伴奏を用意しました。
そして、本番中のザッパの指示によって、いかなるパターンでも瞬時に演奏できるようにメンバーに徹底させました。
まさに「即時反応力」の応用例ですね。
また、ザッパは、まだ若いバンドメンバーのスティーヴに、
「今鳴った雷の音を譜面に起こして演奏するように」
などと一見、無理難題な注文を頻繁にした、と言われています。
スティーヴは、幾度となくその雷の音を思い返し、譜面を提出し、それを演奏しましたが、ザッパはなかなかOKを出しません。
スティーヴは深く思い悩んでしまうことになります。
しかし、これこそが彼の能力を大きく飛躍させるステップとなりました。
こうして数十年後、世界を代表するギタリストとなったのがこのスティーヴこと、スティーヴ・ヴァイです。
ザッパがリトミック教育を知っていたかどうかはわかりませんが、無意識のうちにリトミックを体現していたアーティストの代表と言えるのではないでしょうか。
このように現代の音楽においても、リトミックの要素は存分に使われています。